Switch(スイッチ)

「Switch(スイッチ)」は早稲田駅から徒歩3分、早稲田大学が至近距離にあります。

大通りから一本入った通り沿いのため、落ち着きのあるアカデミックな雰囲気の中で、紺色の看板がひと際目を引きます。

 店長の荒川京子さんに、忙しい合間を縫って取材にご協力をいただきました。

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Q : 最初は代官山にオープンしたんですね

「 代官山で始めましたが、ずっと学生街でお店をやりたいと思っていたんです。特に早稲田にこだわりがあったわけではないのですが、たまたまいい物件があったので。こちらに移って丸6年になります。」

 

Q : なぜ学生街でお店を開きたいと思ったのですか?

「自分が大学生の頃に、近くに雑貨屋さんがあって。そこが癒される場所になっていたんですよね。私もいつか、と思っていました。」

 

Q : ということは、すでに大学生の頃からお店をオープンさせたいと思っていたんですね

「そうですね。当時はTシャツと革小物とポストカードを置きたいな~と思っていました。洋楽が好きで、ファッションもロックっぽいものとか好きでしたね。当時は少し好みが偏っていたかもしれません。

代官山は、こことは少し違いアンティークっぽい雰囲気だったんですよ。「Switch」は《長く使えてシンプルなものを》というコンセプトにしていて、なるべくシンプルに長く使えるものを置きたいと思っています。ショッパーもシンプルな黒に統一しています。どちらかと言えば、今の時代もシンプルでエコな時代ですしね。」

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Q : ところ狭しというくらい、色々なものがたくさん並べられて楽しい店内ですよね

「アイテム数は豊富にあるのですが、会社はなるべく1社に絞っています。アロマ製品だったらGPPのもの、というように。例えば、『a day』はルームフレグランス、ディッシュウォッシュ、オールパーパスクリーナーを置かせていただいていますが、「ペパーミントシダーウッド」の香りじゃないとイヤだ、というようなお客様も多く、そういう方はリピートしてくださっています。」

 

Q : 香りではどういったタイプが人気ありますか?

「エッセンシャルオイルのローズウッドが一番人気だったのですが、現在は残念ながら取り扱いがなくなってしまいましたね。次はラベンダー、ユーカリ、そしてスイートオレンジ、と続きます。

『デイリーディライト』は種類も多く、価格もリーズナブルなのでいいですね。」

 

Q : ところで、店舗名の『Switch』とはどのような意味でつけられたのですか?

「単語の意味通りなんですが『気持ちの切り替えができる場所』という思いを込めてつけました。学生さんも主婦の方にしても、ここに来たらしばし日常を忘れてOFF の時間を楽しんでほしい、と思っています。お客様にはもちろん学生さんも多いのですが、裏手には保育園があるので送り迎えのママさんたちも多いんです。お子さん連れでいらした方は、私がお子さんのお相手をしたりしています。お客様にゆっくり商品を見ていただきたいので。」

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Q : ステーショナリーも充実していますよね

「ステーショナリーに関しては、同じもので統一しています。服飾小物やお洋服に関しては、バラエティに富んだものや新しいものを取り入れるようにしていますが、いつ来ても同じものが買える、というものもなくてはいけないと思っています。それがステーショナリーであり、アロマの香りですね。」

 

Q : 将来に迷っていたり、ゆくゆくはお店のオーナーになってみたい、と思う女性たちへのアドバイスなどもぜひ伺いたい、と思っています」

「アドバイスができるかどうか・・・(笑)。

大学に入って2年目くらいからダブルスクールの生活を始めました。バンタンキャリアスクールの雑貨経営コースに入学し、取材や経営について学びました。大学卒業後に雑貨のチェーン店に就職し、その後、7年間店長を務めました。商品仕入れ、利益率のことなどいろいろ学び、ひたすらお金を貯めました。」

 

Q : 7年後に独立されたんですか?早いですよね

「ボーナスは全部貯めて、とにかく1日でも早くオープンさせたい、と思っていました。私の地元は東村山なので、国分寺や吉祥寺でも探しましたが、家賃が高いんですよね。ちょうど条件に合ったところが代官山で見つかりまして、それで念願のお店をオープンすることができました。

もちろん、全てにスムーズだったわけではありません。もう本当に落ちこぼれでしたから(笑)不安はありましたよ。できないことをできるようになるために、何でも一生懸命にやって少しずつ自信をつけていきました。モチベーションが下がったことはなかったですね。どんな時もオープンさせたら、お店は続けなくてはいけない、嫌なことがあっても続けなくてはいけない。それは最初から覚悟していましたから。」

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Q : お店を運営するに当たり、荒川さんにとって一番むずかしかったことは何ですか?

「そうですね・・・店には今、2人スタッフがいます。すごく一生懸命やってくれているのですが、やっぱりもっともっとお客様に対して気遣いをしてほしい、喜ばれるためにはどうしたらよいのか、自分と同じような気持ちになってほしい、と思ってしまうところがあって・・・経営者の私とは立場が違うのだから、まったく同じ気持ちにならないことはわかっているのですが、その気持ちを上手に伝えるのがむずかしいと言えるかもしれません。

よくやってくれているのは重々承知の上で、さらにお客様に喜んでいただける店舗づくりを目指したい。なるべく理想に近づけていきたいと思っています。

商品選びについては、なるべく独りよがりにならないように、みんなに意見を聞いた上で最終的な決断は自分でします。」

 

Q : GPPとの関わりはどのようなところから?

「いつもギフトショーの際にはGPPさんのブースに伺って、スタッフの方とご挨拶させていただいていました。代官山の時代から、エッセンシャルオイルは取り扱っていました。『デイリーディライト』は価格がリーズナブルなので、とても助かっているんです。

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店舗では、香りがアイテムの軸、中心になっています。先だっても『秋の模様替えは香りから』というテーマで、店舗作りを心がけました。夏から秋への切り替えは、案外むずかしいですよね。まだ暑さは残っていて、冬になる前のほんの短い期間である秋の落ち着いた感じを取り入れたい。最初の季節への取り込みは、常に香りなんです。」

 

Q : 荒川さんのお話を伺っていて、自分の夢がまったくブレない、というところがとても印象的だと感じます

「路線が少々変化する、ということはもちろんありましたよ。店舗の雰囲気としては女性的なのですが、通われるお客様で大学生の半分は男性ですからね、ある時はユニセックスに寄ってみたり、そういうチャレンジはけっこうしてきました。

やりたいことがあって、今後は日本製のものを扱っていきたい、と思っているんです。

職人さんの手作りのものや、ぬくもりが伝わるものを増やしていきたい、という夢があります。そうなると、価格的にも高価なものになってくるので、それに見合う空間づくりが必要になってきます。

今は、手頃なもので可愛らしいディスプレーに雑貨好きの女の子たちが寄ってきてくれる、その良さもあってどうしたものか・・・そうした葛藤はあります。全部日本製にしてしまうと、それもつまらないので、バランスよく揃えていきたいんです。

今は、食器、タオル、ステイショナリーが日本製のものです。アクセサリーはデザイナーの1点ものが8割。メーカーさんが日本で作っているものが2割ほど。コーナーをまとめるのはむずかしい。」

 

Q : 日本の文化を伝承、育てていきたい、という気持ちでしょうか

「年齢を重ねてきて、気になり始めたというのもあります。百貨店の実演販売を見ると、つい買いたくなって。そのうちに扱いたいな、と思うようになったんです。」

Q : 荒川さんご自身は創作はされないのですか?

「作ってみたい、という気持ちがないわけではないのですが・・・私自身は作らない、と決めているところもあります。だって、自分が創ったものだと、どうしてもひいきしちゃいそうじゃないですか(笑)。お客様と話していると、「これ、好きでしょ」って、お客様にわかっちゃうんです。創作はプロにおまかせして、私は経営側に立ち売る方に専念しようと思っています。」

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Q : 経営と作る側の「好き」は両立しないものかもしれませんね。『Switch』ならではのこだわりについて教えていただけますか

 「スタッフの皆に『できる範囲を決めないでね』と伝えたいんです。

私は新卒で雑貨のチェーン店に就職しましたが、チェーン店ではここまでしかやりません、というのが強いんですね。お客様全体に不公平にならないように。私個人的には、できるのならもっとやってあげたい、という気持ちがとても強かったのです。

自分の店では『経費を気にしないでいいから』って言っています。『もっとこんな風にしたら可愛いと思いますがどうですか?というような提案もしてあげて』、『プレゼント用のリボンの色にもこだわってあげて』と、言っています。

あと、長く使ってほしいので、アクセサリーも長期無期限に修理をしています。修理に来てくれるのは嬉しいことなんだよ、と。修理にくるのは捨てたくないからなんだから、使ってもらえてよかったね、という気持ちを持ちましょう、って。

そんな風にしていると、『どうせ買うなら、あそこで買おうかな』と、そう思うお客様が集まってくるんです。『あそこなら、無料で直してくれるんだよ、ギフト用のラッピングも可愛いよ』って、お客様の方から口コミしてくれるんです。

すごく嬉しいですね。そういう声をいただく度に、スタッフたちと『よかったね』と喜んでいます。」

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Q : 素晴らしいですね!!ところで、セミナーや展示会のご予定はありますか?

「店の奥にコーナーを作って、時々ワークショップを開催しています。これまでに、アクセサリーやフラワーポールを作るワークショップや、12月にクリスマスリースを作るイベントなどを行ったことがあります。

お花屋さんが入ってくれているので、いつも季節のお花を欠かさないようにしています。時々、大学の教授にお渡しする祝賀用のお花の依頼を受けるので、そういう時には季節のお花を選び、私がラッピングを担当しています。

大学が長期休暇に入る夏・冬休みの時期、8~9月と2~3月にはどうしても売り上げが下がるので、そういう時期を見計らい、あとは母の日の前などに展示会やワークショップを開くようにしています。」

 

Q : カフェなんかも開けたら、もっと人が集まりそうですね

「そうですね、いつかやってみたいですねぇ。初めての人が話したり、交流の場があったらいいな、と思います。お客様からも、時々『お茶飲めるところつくってよ』と言われます。なかなかスペースがないので厳しいのですが。

自分の好きな事ができて、毎日が本当に楽しいです。浮かれることもなく、現実的に、堅実にやっていきたいと思っています。」

 

Q : 荒川さんのさらなるご活躍を願っています。今日は本当にありがとうございました

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  取材協力店:「Switch」

東京都新宿区西早稲田1-1-4 川崎ビル

営業時間:11:00~19:00

定休日:日曜・祝日